私が言霊と出会うのは、1990年代の初めの頃に『言霊秘書』(山口志道著　大宮司朗監修　久米晶文校訂　八幡書店) を神田神保町の書泉グランデの精神世界コーナーの棚で手に取って、すぐに買ったのが最初であると思っていました。

しかし、よくよく考えてみると、じつはもっと早くに言霊と出会っていたのです。

それは、私がハイデッガーの『存在と時間』の原書を翻訳を助けに、来る日も来る日ものめり込むように読み耽り、 とうとう終わりまで読みきった1983年の11月27日までの八ヵ月の日々でもなければ、それとほとんど前後してOSHO(当 時はバクワン・シュリ・ラジニーシ)の講話の翻訳(めるくまーる社刊)やクリシュナムルティの神秘体験の手記、神智 学の書などを読んで、瞑想を実践し続けていた時期でもありませんでした。また、80年代後半にバシャールはじめ一連の チャネリング関連の書に惹かれて読んだ時期でもありませんでした。 とにかくそうしたアプローチからの探究をひととおり終えてから、こんどはそれまでとはだいぶ異なる体験を通じて、 じつは最初の言霊との出会いというものがあったのではないかということに気づいたのです。

それは、「祈り」の体験でした。つまり、このときに知った、「祈りの言葉」こそが、私にとって最初に出会った言霊 だったろうと、今になって過去を顧みて思うわけです。それまでは、もっぱら言葉によって思索(思惟)をし、そして言葉 を忘れる体験として瞑想のひとときをしばしば過ごしていました。

私達の眠っている知性の扉を開き、真理を理解させてくれる言葉が、哲学や宗教の言葉だとします。

あるいは、般若心経をはじめとするお経(スートラ)には、「実体があると思われているものがじつは空である」など という真理が説かれているわけだから、そうした経文を声に出して読み上げることで、生きている人間でも、亡くなった 霊でも真理への理解を深めさせられ、迷った霊にたいしては迷妄の想いの雲を吹き払うだけの力が発揮されることもあったでしょう。

ここからすれば、それらをもって言霊だということもできるかもしれません。

けれども、私はここで「祈りの言霊」と明確に区別するために、真理探究のために記述された言語や真理を説く講話の 類(たぐい)については、敢えてこれを「理解の言霊」とか、「理解を通して知性的に悟らせる叡智の言霊」と呼んでおくこ とにしたいと思います。

たしかに、仏教の流れの一派である大乗仏教にしても、釈尊入滅後六百年くらい(龍樹の生没年および生涯は不詳で、 この数字もかなり不正確ですが)たってから、『中論』を著したナーガールジュナ(龍樹)あたりで、哲理の体系としての 完成度を高めています。もともと大乗仏教は小乗仏教などに比べて理論面が弱いと考えられていました。

一方、神道の祝詞やキリスト教、イスラム教などの宗教の祈りに用いられる言葉というのは、あくまでも哲学や哲理 ではなく、そのまま祈りという行為を通じて、人間の声の響きとなって宇宙に放たれ、天に届かそうとして発せられる響き です。その意味では、大乗仏教の流れでありながら、日本で独自の発展を遂げた浄土系(浄土宗、浄土真宗など)の念仏も、 立派な祈りであり、南無阿弥陀仏の六字名号も祈りの言霊であると考えられます。

祈りの言葉を発声し、響かすことにより、神につながります。もちろん、声に発することがなくても、心の中で唱え るときに、あるいはその祈りを思うときすでに心が神様のほうに向けられ、神様のほうから来る光を招きいれます。

結局、祈り言葉とは、神様の光を自分の心に呼びいれるための言霊だということができると思います。

もちろん、単純に仏教の言葉が哲学的叡智、理解の言霊で、神道の祝詞が祈りの言霊だと分類することはできません。
南無阿弥陀仏と唱えるときは、脳中を駆け巡るあらゆる想念感情をすべて阿弥陀様のみ光の中へと投入して、消し去ってもら うのだし、南無大師金剛遍照と唱えるときは、弘法大師空海を通じ、大日如来のほうへ業想念を預け、南無妙法蓮華経と唱え るときでさえ、私達の内なる完全性(仏性)、大宇宙とつながった個々人の小宇宙である自己へと帰ることを可能にしてくれる ので、それらは皆、祈りであり、自我を明け渡すターゲット(目標)として、祈りの言霊が生き生きと輝き働いてくれるという ことができるかと思います。

したがって、ここでは表面的な形式にこだわるのではなく、神仏に帰依する心で、自我の想いというものを完全に神仏の光 の中へと入れきってしまうということが大切なわけで、そうした心と行為さえあれば、お経をあげようと、祝詞をあげようと、 そこに祈りの言霊が輝くことになります。

古今東西の宗教の道に共通のこうした祈りの原理、救われの方法というものが、よく理解できるのは、これはすべて五井昌久 先生のお蔭です。三十代にはいってまもなく五井先生との邂逅があり、人間が多層的な宇宙であり、それと対応している私達の想 いがどこにつながるかが大切で、日々、言葉を語ること、想いを発すること、行為を表すたびごとに、いつも光明の波動を世界中 に振りまいてゆくためには、祈りを基本にして生活することが大事であるということが、魂の底からわかったのは本当に幸せでした。

いずれにしても、言霊の本質は何かということを問われたとき、私ならば、「それは祈りです」と、誰にでもわかりやすい 言葉で一言で答えるでしょうということです。

こうしたことは、けれども、最初からわかっていたけわけでも、意識していたわけでもありません。どちらかというと、言霊 一音一音がそれぞれにいくつもの法則というか、一般には意味も含めた由来と働きとをもっていて、自然界の理にもかなったそれら を学んでゆくと、現代の日本語の語源や、どうしてそう言うのかなどが、面白いようにわかってくるとともに、大昔の人々がどんな 宇宙観や言語観をもっていたかがわかってなかなか興味深いという面に惹かれ、そればかり勉強していました。

ところが、そうした面も重要ですが、言霊には用い方に関して、それ以上に重要な面があったのだと考えるようになってきました。

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私がこうした結論に到ったのは、あるきっかけがあります。それは、前掲の『言霊秘書』の校訂のお仕事をされた久米晶文先生が、私に大学でのゲスト講師 としての講義の機会を与えてくださった際に、「言霊とは何か」というテーマについて徹底的に考えてみてくださいといわれたことでした。

　

そのときのヒントは、「コトバは人間がつくったものか、それとも神から来たものか」という久米先生の問いかけでした。

私の中からすっと出た答えは、「もちろん、神から来たものである」でした。

それだからこそ、「言霊」と呼ぶし、「言霊」が本当に生きたものとしてこの世に存在し、私達人間を宇宙法則に外れぬように正しい道へと常に導いているのだと断言できるのです。

祝詞とか、真言とか、お経とか、各宗教の祈りの言葉というのは、いわばラジオのチューナーのつまみを回して、特定の周波数に調節し、神界から放送 される光の波動を受信するためのチャンネルのような役割を果たしてくれます。

一方、理解の言霊を頼りに、しだいに何が迷妄で、何が実体であるかという真理を悟ってゆく方法があります。ヨガでも、多種の道があり、ジュニアーナ・ヨガ などは洞察を使う叡智の道です。 しかし、そのような道をとったしても、この世に生まれている人間は基本的に過去生から持ち越した先入観や固定観念、誤った考え方、恐怖心や怒りや恨みなどの ネガティブ(否定的)な感情想念を誘発する思考のパターン、言動のパターン(性癖)といったものが、潜在意識の奥底に蔵されています。 それらは完全に浄化されて本体の光体が出てくるまでは、縁に触れてそれらが表面の意識にのぼってきて、不調和な出来事や運命として現れてきます。

そうすると、いくら顕在意識の層で「理解」できても、それら個人差のある、量的にもどれだけあるかもわからない、真理から外れた想念感情が、根絶され、 症状が根治されるとはかぎりません。

それでも、そういうものが出てくるたびに、それらに巻き込まれずにいるために、瞑想というアート(技術)、いわば今を生きるコツを多少なりとも若い頃より知っていたことは、 幸運でした。先にも書いたように、二十代の頃の私は、インドの瞑想家で神秘家である導師のOSHOを通して、瞑想の道を探究していました。

ここでいう瞑想とはつぎのようなものです。自分の体の感覚(五感)を通じてやってくるもの、それから思考、感情、そして自分を取り巻く雰囲気や気分というものに、この今の瞬間に気づいているとい う練習。感覚や思考や感情や気分と自我との同一化からできるだけ醒めている練習。
練習といいましたが、最初は練習であっても、じきにそれが二十四時間の生活をする際の基本的な態度にまで溶け込み、考え事にボーッとなったり、思い込みにより物の見方が縛られたりすることなく、 生き生きと今を生きるアートにまでなります。
マインド(頭脳、思考、欲望―文脈よって、訳語が異なる)から外に出て、意識をハートに置き、気づくために必要なハートのスペースを涵養することで、空っぽさ(emptiness)の美しさから、瞬間ごとに展 開する現実の今を生きる……。ということでしょうか。

しかし、OSHOの弟子のある高名なセラピストとの出会いをきっかけとして、私は自分自身の右脚の、スピリチュアルな成長を望む男性エネルギー側に微妙なエゴ(suttle ego)の土台のあることを教えられ、 過去生からのパターンを超え出て、女性側のもつ肉体、物質などの面にもっと目覚めながら、精神と物質のバランスを回復してゆくという今生の課題に気づかされることになりました。
私はそうしたサトル・エゴの欲望想念も含め、あらゆるネガティブな想念を積極的に光の中で消してゆくには、祈りの必要なことに目覚めることになります。

これはでも、今の地球文明が直面している、物質と精神との統合と調和という大きな課題でもありました。 瞑想から祈りへ。この道は私にとって必然性がありました。

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理解や瞑想の道を歩み続けていても、なお出てくる想念感情や現れてくるさまざまな運命というもの。 それらにたいして、またさらにいろんなことを想ったり、感じたり、考えたりしてしまうというこの 循環をどこで断ち切り、消してしまうのか。その処理の方法として、もうひとつ祈りというものがあり ます。

神様の高い次元から照射される光を招きいれることで、こちら側の潜在意識の深い層までも清めてもらう。 そのため、良くない運命として顕在化してくる元の、宇宙法則のリズムから外れた不調和な想念の波動を、 神のみこころに合わせた波動の中ですっかり消してもらう。

途中の段階では人間側が理解し、決断し、行うにしても、最終的なエネルギーとして、パワーとして、 そのような仕事が可能なのは、神様側からの応援があってのことにほかならない。

いわゆる神業(かみわざ)を想定せずに、悪人が善人に変えられたり、業想念で汚れた人の心がすっ かり清らかに浄まり、改心したり、回心するという奇蹟は起きるはずがない。

どうしようもない肉体と同化した業まみれの人間から、本来の神の分け命としての人間となって光 輝くように変わるのに、神界と人間界との光の通路となり、救われの渡し船の役をしてくれている ものが、どうしても必要になってくる。

それこそが「言霊」である。私は、そう確信したのでした。

そして、その確信が得られた体験が、五井昌久先生の提唱する世界平和の祈りとの出会いでした。

この祈りは、その無私の、グローバルな人類愛からの高い願いの波動に感応した、地球よりも意識段階の はるかに進んだ金星の宇宙子科学という、精神波動と物質波動との完全なる調和をすでに実現している地 球外文明からの高度な科学によるサポートも昭和37年より受け、そのテーマは、私自身の人生における 精神と物質の統合・大調和というテーマとも一致していました。

そして、その前段階として、あるとき本屋さんで見つけた『神想観』(谷口雅春著　日本教文社)とい う本を頼りに、一ヵ月ほど神想観を行ったことが、私が山口志道が『水穂伝』などで説く言霊よりも 前にじつは言霊に出会っていたのだったと後で述懐することになる、最初の言霊体験だったのです。

それはつぎのような言霊でした。

　 我、今、五感の世界を去って、全身あまねく観ずるに　我が身このまま観世音菩薩なり。我、観世音菩薩なり。
物質はない、物質はない…肉体はない、肉体はない……心もない、心もない……。
神の無限の愛の海、吾に流れいる、流れいる、流れ入る……。
神の無限の叡智の海、吾に流れいる、流れいる、流れ入る……。
神の無限の調和の海、吾に流れいる、流れいる、流れ入る……。
神の無限の供給の海、吾に流れいる、流れいる、流れ入る……。
神の無限の××の海、吾に…………………………………………。

これを、正座し、瞑目合掌して、唱えました。
まもなく、心が平和になり、まったく望まずして神秘体験もしました。
それまでは、瞑想をもっぱら実践してきましたから、この神想観の実践というのは、私にとっては瞑想の 延長上にあって、「瞑想＋祈り」の融合形態と思われ、非常に入りやすかったのでした。

ほどなくして、私は世界平和の祈りをするようになり、今日に到っています。

それは、つぎの言霊です。

世界人類が平和でありますように
日本が平和でありますように
私達の天命が完うされますように
守護霊様ありがとうございます
守護神様ありがとうございます

　この祈りは五井先生と神界との約束事で、この祈りをするところに必ず救世の大光明が輝き、 自分が救われるとともに、世界人類の光明化、大調和に絶大なる力を発揮するのです。(祈りに附言されている解説)

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ところで、祈るという行為が、ともすれば悪い意味に使われるときの「他力本願」であり、「依存」であるかのようにとられかねない向きもありました。 これにたいし、とくに表立って神を説かない、仏教の禅宗に代表される修行は、自力行(じりきぎょう)としてとらえられ、心を鎮める精神修養や、己に打ち勝つ克己の努力として、いくらか一般のビジネス社会でも受け容れられやすい傾向があったように思われます。企業で役立つ人間になるのに、書店のビジネスコーナーでビジネス書を買って勉強をするのと同じくらい、「自己啓発」のコーナーで見つけた本を読み、自己研鑽することが理解され、歓迎されることがあっても、精神世界や宗教のコーナーにある書を買って、毎日、祈りを捧げたとしても、それがいったい目の前の問題とどう結びつくのか、これまでの社会ではなかなか理解されなかったばかりか、どうもマイナスのイメージで受け取られてきたと思います。

では、現代の日本では、どうしてそのようなマイナスのイメージが祈りの行為にまつわりついてきたのでしょうか。

それは、単に自分のエゴで、自分だけの幸せや救われを願って祈る個人的な、いわば現世ご利益の祈りと、そうではない、純粋な他の人々や全体のためを願って祈る祈りとが混同されてきたからではないでしょうか。 ご利益信仰の祈りも素朴な庶民のささやかな願いくらいにとどまっているならよいのですが、あまりに自己中心的になると、念力となって低い次元の世界に通じるだけでなく、似たようなエネルギーを集めて共磁場を 低くする想念波動を放送することで土地の波動を不調和にして災害などが起こりやすくなり、集団の想念エネルギーにも悪影響をおよぼすことになってしまいます。

本来の祈りは、すべてをゆだねるもので、自我にまつわる思考を一時停止させ、もろもろの想いをいっさいお預けしてしまい、「祈りの言霊」を素直に朗詠することで、神様の光明的な波動にチューニングするだけです。 朗詠というと、和歌を詠むときの表現なので、この場合にそぐわないように聞こえるかもしれません。経文などを声に出して読むときは、読誦(どくじゅ)するなどの表現になりましょう。 私は三十代の頃、よく近くの美しい海に出かけていって、月の晩などに星空を仰ぎながら、朗々と声を響かせて平和の祈りの言霊を発声していました。 意識が祈りの言霊に誘われるようにしてたちまち無思考の状態となり、歌を奏でるように祈り言葉のバイブレーションが広がって、まるで自分の肉体が繭玉の中に包み込まれたように なって、祈りの波動に包まれ、さらにそれが星空いっぱいに広がって、宇宙と共鳴しているのが感じられるのです。そのような祈りを唱えるのが快い、楽しいと心から思える体験をたく さんしました。天地、宇宙と交流し、植物や大地や山や空気や太陽や月などの神々と交感していたのでしょう。

山口志道が、「天地の氣(イキ)」と「人の氣(イキ)」(氣は水火に同じ)とが、與(く)むことにより、人は言(ものいう)と述べていますが、私にとっては、そうした祈りの体験で味わった 言霊サウンドが宇宙に鳴り響いて、あらゆる自然と共鳴し、一大シンフォニー(交響曲)を奏でている情景が鮮烈な印象を脳裏に形成し、真っ先に思い浮かぶのです。
そんなわけで、天地のイキと人のイキがそれぞれ調和して、初めてこの世は本当に平和になるという真理にしても、絶対にそうなのだろうと確信するわけですが、その場合の天地の氣と人の氣 がくみあい、人は言霊を発するというのも、それは日常会話においてというより、私にとってはまず「祈り」の言葉においてではなくてはならない、となってしまうのです

そのへんに、言霊がどうして人間に与えられているのかという理由を解き明かす真理があるのではないだろうかと思います。
「理解の言霊」は、どちらかというと思索や思考という手段を通じて欲望や迷妄と取り組み、悟りを深める自力行の色彩が濃いという印象です。一方、「祈りの言霊」のほうは、そうした営みとはだいぶ異なります。

決定的なことは何かといいますと、祈りの場合は、神と人間との共同作業に負う部分がより多いといえると思います。

「神と人間の共同作業」といいましたが、いったい何をするつもりなのかと疑問に思う方はいるでしょうか。これまで科学の力と技術の力を信じて、人類は物質文明を築きあげ、 繁栄を謳歌してきました。それが地球環境問題などに直面することで、ここに来てようやく反省の機運が訪れています。今年の3月11日に東北地方の太平洋沖を震源とするマグニチ ュード９という巨大地震は、さらに私達人間のこれまでの態度を改めさせるきっかけになりました。今日、日本人のみならず、地球上に住む人類の頭をいちばん悩ませているのが、 後のことを考えずに見切り発車してしまった原子力発電所をどうするのかという問題です。完全な核廃棄物の処理法も見つからないまま、多くの犠牲とともに原発を稼働させ続け、 核再処理施設までつくってきて、いまだにどうしたらよいのかよい知恵が出てきません。原発事故では、多量の放射能を出し続ける瓦礫処理が国会で法案化され、日本国内のどこ へ持ってゆくのかで問題化しています。放射能除去、除染……。技術的なことでさえも、従来の人智だけで乗り越えるのが難しくなっているうえに、少なくともこうした時局で、 小さなエゴ同士がぶつかり合っていては、国難ともいえる困難はとうてい乗り切れません。

ところで、原発政策が核政策とセットになっているということは、以前からわかっていましたが、先日(2011年8月26日)のテレビ朝日のニュースステーションに登場した石破茂氏 (自民党政調会長)の発言で、国民の前に明らかにされました。濃縮工場でつくられる原発の燃料であるウラン235と同じ物質からヒロシマ型の原子爆弾が製造でき、再処理工場から出て くるプルトニウムからナガサキ型の原爆ができます。これが「日本は核兵器は持たないけれども、いつでも作れるという意味での核抑止力になることは忘れないでほしい」という発言 の論拠です。「周辺の大国の軍事的脅威にたいして、そうした抑止力に頼らないでもよいのか。それを踏まえて、原発がなぜなくすことができないのかを考えてほしい」というような 内容のことを石破氏は発言しています。これも、五井先生が提唱して以来、今日まで国内外で続いてきている祈りによる世界平和運動という方法がさらに広く理解されてくると、そう した、疑心暗鬼と恐怖心にもとづく考え方そのものがなくなってゆくと思います。ですから、人類がこれから困難を超えてさらに進んだ文明に移行してゆくとき、どうしても否定的な 想念と言葉を浄め、光明的な言霊の力を生活の中で蘇生させ、かつての太陽神を拝んだ古代や、縄文時代はじめとする世界各地の古代文明のように自然に感謝し、互いに仲良く調和し て生きる、「祈り」のある生活を文明の中心に据えてゆく必要があります。

その際、ネックになっているのが、従来の宗教観でしょう。「南無阿弥陀仏」と念仏を唱える浄土門や「アーメン」と唱えるキリスト教などは、昔から他力の要素が強いと考えられ てきました。しかし、この自力にたいする他力という言葉の用い方は、もう終わりにしたいと思うのです。この地球社会で「他力」という言葉自体が死語となる日もそう遠くないのでは ないでしょうか。でないと、「宗教をやるのは、自助努力から逃避する、依存的で心の弱い人だ」といった誤解や偏見が、いつまでもたってもなくならず、人類の進化の道を塞いでしま いかねません。

個々人が自らの想念の世界に与える影響を自覚することなくして、不安や恐怖や疑いや自己否定などの否定的な悪想念を環境中に放ってしまうことで、やがてそれが集積し、プールされたエネルギーが天変地異、自然災害、戦争や紛争、テロ、疫病、事故 などの不幸な現象をひき起こし、そうした過激な形での波動調整が行われる結果をもたらすことに一日も早く、人類規模で目覚める必要があります。東日本大震災と福島第一原発の事故以降、私達日本人はどんな価値観で、どんな生き方をしたらよいのか、 問い直し、選び直してゆく必要性に直面させられていますが、ここに書いたようなことが、今ほど、よく理解され、話し合われなくてはならないときはないと思います。何も全員が即刻、祈りをしなくてはならないというのではありませんが、まずは自分 が語る言葉や思うことにたいし、これまでのように無自覚で習慣的にやり続ける態度は、やめてゆく必要があるでしょう。でないと、私達はこれから地球の波動がますます上昇してゆくにあたり、自然と調和し、存続してゆくことができなくなります。

これからは、「自力」と「他力」の二元対立的な概念をやめて、「神と人間との共同創造」、または「地球外の知的生命体(宇宙天使)と人間との協同ワーク」という新たなコンセプトを共有する必要があります。 この結束によって、人類は国家や政治体制や人種をも超えて、地球規模の原発問題をはじめとする環境問題や災害対策、飢餓や戦争や核兵器を根絶するプロジェクトに取り組むことが可能になるでしょう。その有力な方法として、「言霊」により、多くの人々が場所や時の隔たりさえも超え、共に祈る「祈り」を行ってゆくことを、私は提唱したいと思います。

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